プロとアマの違い

こんばんは。

前回のブログで、弁護士はプロであるということを少し書きましたが、今日はそのことを詳しく書いていきたいと思います。

 

私が弁護士が一般の方々と異なるゆえんは、2つ。

①事件を進めていく中で、そのときどきにしなくてはいけないことが把握できる

②適切な証拠評価をすることができる

ということだと思います。

 

どういうことかというと、ちょっとざっくりしてしまいますが、まず①について。

たとえば、やっぱり訴訟戦略の話でしょうか。

不倫をされた奥さんが相手方の女性に損害賠償請求をすることを考えましょう。

不倫をされた奥さんが相手方の女性に損害賠償を求めるときに、主張立証しなくてはならないのは、

①奥さんとだんなさんが婚姻関係にあったこと

②①の期間中に不貞行為(性行為)があったこと

の2つです。この事実を主張立証できれば、金額は別として慰謝料を勝ち取ることができます。

逆に言うと、この2つが主張立証できなくてはその請求は認められません。

何が言いたいのかといえば、こういうたぐいの損害賠償請求をするときは、まずは不貞行為を立証できるかということをまず確定させないと話がスタートしないということです。浮気をされた奥さんは感情的になっているので、まずだんなさんがどんなクズ男だったのかとか、相手の女性が誠実に当方に対応してくれないことをよく言われますが、そんなことは損害賠償を請求する時点でははっきり言ってどうでもいいのです。「だんなが浮気をしていると言っていた」「物証は何もないけど・・・」などいう状況なのであれば、浮気そのものに関して証拠がないのですから、まずそもそも請求するための前提を欠いているのですから、その点をどのようにフォーローしなくてはいけないのか考えるのが一番先です。

もう少し掘り下げると、間違って裁判でだんながどんなにクズ男であるかということを裁判上で言ってしまったら、自分で自分の首をしめることにもなってしまうこともあります。慰謝料の額は、どのような婚姻関係をどのように壊したかによりますから、だんながクズ男であって自分も結婚しているときからだんなに愛情がなかったなんてことを言ってしまったら、そもそも保護されるべき婚姻関係が大したことなかったということを自認してしまっているようなものですから、絶対に言ってはならないわけです。100万円の高価な壺を壊してしまったときの弁償額と、100円ショップで買ったグラスを壊してしまったときの弁償額がことなるのと同じ理屈です。

こういう発想がどのような事件についてでもできるのがプロで、できないのがアマです。

 

次に、②について。

裁判所は証拠によって事実を認定しますから、証拠について適切な分析をしなくてはいけません。

①の例のように、その事件で具体的に主張立証しなくてはならない事実と言うのがあって、その事実をどういう風に立証していくのかという問題です。

たとえば、離婚訴訟で言えば、「だんなからのモラハラ行為でうつ病になった」的な診断書がたまに出てきますが、私に言わせればこんなものは何の役にも立ちません

というのは、こういう事件で主張立証しなくてはならないのは、「だんなのモラハラが原因で」「うつ病になり」婚姻関係の継続が困難であることです。診断書から直接立証できるのは、患者が「今現在うつ病であること」のみです。そもそもモラハラなんてあったのかもわからないし、お医者さんはモラハラの状況など目撃していないのだからお医者さんがうつ病の原因を自分の経験をもって裏付けることなどできないのですから。

この例で言いたいのは、その証拠から直接立証できる事実はどこからどこまでなのかということを的確に把握することができるのがプロで、「診断書があるんだ!証拠があるからこっちの勝ちだね!」的なことを言っている人はアマということです。

もう一つ例を出すとすると、証拠力の適切な評価ができるかということです。

先に述べたのは、「そもそもその証拠でその事実が立証できるの?」という問題で、今から述べるのは「その証拠って信用できるの??」という問題です。

例えば、先の不倫慰謝料請求の場合、だんなさんが過去に「私は●●さんとセックスをしました」ということを言った録音があって、奥さんが不倫の事実を立証するためにこの証拠を出したとします。

だんなさんの言葉は立証したいことそのものなのですから、この録音で一応は事実は立証はされています。

でも、ここで、「だんなが不倫を認めた録音があるんだ!これでばっちりだね!」と言うのがアマで、一歩立ち止まってその証拠力を考えるのがプロです。

証拠力というのは、その証拠が立証したい事実の立証に役立つ力のことをいいます。先の例で言えば、証拠と言うのはだんなさんの証言ですから、証言の信用性を意味します。

極端なことを言えば、この証言が奥さんがだんなさんを縛り上げて怖いお兄さんに脅されながら言った発言だったとしたら信用に値するのか(供述時の状況)、本当は奥さんの親友と浮気していたのだけど浮気されていること自体は明らかになっていて奥さんとそんなに仲が良いわけではない人と浮気したことにしなかったら奥さんが傷ついて自殺してしまうような状況があったとしたら信用に値するのか(虚偽供述の動機)などといったような視点です。

こういう点を踏まえて、その証言が信用できるなら「信用できる」、信用できないなら「信用できない」と結論付けられるのがプロです。

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