2019年
1月
07日
月
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今年はいのしし年だけに、ご依頼者の皆様方の正当な権利を守るべく、業務に猪突猛進していきたいと思っております。
ちなみに、昨年は(も)あまりブログ更新できませんでしたが、今年こそは時間を見つけてちょくちょく書いていきたいと思います。
そんな新年の1発目は、弁護士の選び方について書きたいと思います。
どうしてこんなことを書こうかと思ったかと言うと、最近事件処理をしていて、特段の事情もないのに相場を大きく超える金額を請求してくる代理人と対峙することが多く、結果として弁護士が着手金ほしさに依頼者を食い物にしている状況が垣間見えたからです。
当然のことながら、特段の事情もなく相場を大きく超える金銭請求など認められるわけがありません。他方で、これは弁護士の考え方にもよりますが、あまり法外な請求をすると、相手方の態度も硬化して、まとまるべき話し合いもまとならなくなります。そして、弁護士と依頼者との関係でも、法外な請求をする弁護士の依頼者への説明の仕方によっては、依頼者にあれだけ請求したのにこれしか回収できてないのではないかということで無用な憤りを買い、法外な請求をした弁護士としても後に引けなくなって、このような意味でも紛争を長期化させてしまいます。
このような観点から、私は弁護士による法外な金銭請求は百害あって一利もない行為だと考えています。
そうすると、まずは金銭請求をしたいときはこういう法的な素養も技術もない弁護士に依頼しないことが重要になってくると思いますが、私が考えるのは、まずはインターネットなどで基本的な知識や相場などを確認してから、弁護士のところに行きましょう。そして、調べてきた知識をその弁護士にぶつけてみましょう。
たとえば、不倫による慰謝料請求をしたい時には、次のように聴けばいいです。
「ネットで、離婚しない場合には上限100万、離婚する場合には上限200万ときいた。今あなたはその相場を超える金額を請求できると言ったけど、その理由は何か。」
これに明確な回答ができるなら、依頼してもいい。
具体的には、上限100万と上限200万というのはあくまで「相場」なので、その事例に一般的な事例とは異なる「特段の事情」があるなら相場を超えるお金が請求できるところ、その特段の事情を説得的に論じることができるなら、それが弁護士の腕の見せ所だからです。
でも、「あなたすごく傷ついたんですよね」みたいなかんじで、論理的にごまかそうとする弁護士は着手金がほしいだけなので依頼してはだめです。損をするのは依頼者自身です。
ということで、当事務所は今年も依頼者のみなさまの正当な利益を守るべく活動をしていきますので、ご支援をよろしくお願いいたします。
2018年
4月
15日
日
かずさFMネタをもう1本。
4月6日の放送は、本当は怖いSNS投稿と法的責任というテーマでお話をさせていただきました。4月と言えば新生活→大学入学などに伴ってSNS始めてみようという方がいるかもしれない、もともとSNSやってたけど新生活刺激的なことありすぎてみんなに情報共有したいと思う人もいるかもしれない、ということで、このテーマでお話させていただきました。
まず、はじめに申し上げたのは、SNSというインターネット空間に投稿をすることは、駅前で拡声器を用いてその内容を叫んでいるのと同じことですということを申し上げました。
インターネットの投稿自体は誰の目も気にせずにできるからそういう意味で心理的なハードルが確かに低い(この点で駅前拡声器とは異なります)。でも、ひとたび投稿すれば、その投稿は不特定多数が閲覧できる状況になり、その意味で駅前拡声器と同じになります。
インターネットは駅前拡声器だから、例えばバイト先に有名人が来たことをSNSに投稿すれば勤務先は当然解雇となるし、勤務先の内部情報や経営戦略などを投稿すれば会社から損害賠償請求をされるし、特定人を中傷したりみんなが知らない事実を暴露したりすれば同じように損害賠償請求をされることになるということをお話ししました。ここで注意しなくてはならないのは、FacebookでもTwitterでも「非公開設定」というやつです。でも、非公開設定をしている場合でも、もともと閲覧できる人がスクリーンショットをして拡散するという可能性もあるのですから、あまりあてにはならないですよねということも申し上げました。
そして、SNSの投稿は駅前拡声器だから、例えば誰かが損害賠償請求の対象になるような投稿(名誉棄損やプライバシー侵害など)をした場合には、特定ができるんですよ、ということもお話ししました。インターネットは匿名が保たれているから投稿しやすいというところもあるのですが、そういう意味で完全な匿名性はないということです。
近時の裁判例では、Twitterに個人に対する中傷ツイートをした人が裁判所の命令によって特定されたということもご紹介しました。Twitterはアカウント登録の時に必ずしも個人情報を登録する必要はないですよね。だから、一見何を発言しても個人特定はできなそう。でも、そのような淡い期待は法の前には当然敗れ去って、発言した人が誰かわかってしまうのです。自分の発言には責任をもたないといけないという社会のルールが、インターネット上でもあてはまるわけですよね。
個人情報が登録されていないTwitterでも個人が特定できてしまう仕組みとしては、Twitter社はどこからそのアカウントにアクセスしたのかというIPアドレスなどのログ(インターネット上の住所的なもの)は把握しています。そして、Twitterに紹介を出せばその住所がわかって、その住所を管轄するのはどのプロバイダーかはすぐにわかるので、プロバイダーは契約者情報を把握していますからプロバイダーにその契約者情報の開示を求めれば一発なのです。
インターネットは便利だけど、自動車と同じで気を付けて使わないと自分の首をしめるものになると自覚して使わないといけませんね。自戒もこめて。
2018年
4月
06日
金
また3か月も空いてしまいました。
今日は、お正月にかずさFM関連の記事を書いていけばいいということを宣言したので、かずさFMネタを書いていこうと思います。
今週から、新年度がはじまりましたね。
僭越ながら、千葉県弁護士会の子どもの権利委員会のつながりで、地元の君津市からいじめ調査委員会の委員に選任していただきました。微力ではありますが、君津市のいじめの根絶に努めると共に、弁護士会によるいじめ防止授業も君津市に根付かせていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。木更津市、袖ケ浦市、富津市からのオファーもお待ち申し上げておりますので、千葉県弁護士会子どもの権利委員会までお気軽にご連絡くださいますと幸いです。
この件もあって、先日かずさFMでいじめについて2回にわたってお話させていただきました。
第1回は弁護士会子どもの権利委員会が行っているいじめ防止授業について、第2回はいじめが原因で生徒に重大な事態が生じた場合に学校に責任があるとされる場合はどういう場合かについてです。
いじめ防止授業については、いじめ防止授業の授業例に沿って授業の内容をご紹介させていただきました。全部を書くことは致しませんが、大きな流れとしては、次のような感じです。
1 自己紹介
2 弁護士は基本的人権を守るのが仕事(弁護士法第1条)
3 基本的人権とは(憲法13条前段「個人」として尊重されること。)
4 弁護士がいじめ防止授業をする理由(いじめは基本的人権を侵害することだから、基本的人権を守るため。)
5 NF中学S君事件の紹介(ここには引用できないので、知りたい方は各自検索願います)
6 S君事例でS君の気持ちを考える(心のコップを題材に。「いじめ」と「いじり」の違いなど。)
7 心のコップをあふれさせないようにする方法を考える
8 まとめ
私は生徒さんに発問しながら授業を進めるタイプなので、ラジオでは、ひでじいとりずむちゃんに、本番のリアリティをできるだけ維持した感じで質問しながらお話をさせていただきました。私は、いじめを防止するということは、誰がやるべきということではなくて、いろいろな立場の大人が協力してやるべきものだと思っています。親には親の役割があり、教員には教員の役割があり、同じように弁護士は弁護士の役割があると思うのです。そういうことからすると、弁護士は日常的に生徒に接しているわけではないし、業務の性質からしてインパクトのあるお話ができると思うので、言葉を選ばずに言えば生徒に刺激を与えることができるので、そういう観点からいじめ防止に役に立ててもらったらいいなと思って、私はこの授業をやっています。
そして、いじめで重大事態が生じた場合に、学校が責任を負う場合とは例えばどういう場合なのかということについてもお話ししました。
ラジオでは具体的な事例(過去の裁判例から引用)を出しながら説明しましたが、ここでは煩雑になってしまうので全部は書きませんが、基本的な方向性としては、学校が認識しているいじめの程度と、学校が重大事態防止のために採らなくてはいけない行動のバランス論なんだということをお話ししました。例えば、確定的に学校がいじめを認識しているような場合には、加害生徒の呼び出しや休み時間パトロールなど学校がしなくてはいけない義務の程度は上がるだろうし、学校が確定的にいじめを認識しているわけではない(いじめを認識しないことについて学校側の落ち度はない)ような場合には、そこまでのレベルの高い防止措置を講ずる義務があるとまではいえないよね、ということをお話ししました。
いじめは、たぶんなくなりません。だから、いじめ調査委員会があるんだと思います。
でも、いじめによって最悪の事態が起きることは何が何でも避けなくてはいけない。だから、親や先生や弁護士会子どもの権利委員会があるんだと思います。いろんな立場の大人が、少しずつ気を付けていれば、少なくともいじめによる最悪の自体はなくなると思うわけです。そう信じて、私はいじめに向き合っていきたいと思います。
2018年
1月
07日
日
あけましておめでとうございます。
新年をもちまして、当事務所は開設3周年を迎えました。4年目の今年もよろしくお願いいたします。
さて、昨年からかずさFMの、第一及び第三金曜日13時から13時半にひでじいのコーナーにゲストとして出演して、法律に関するマメ知識をお話させていただいております。
今年もそれを継続させていただきますが、このラジオ番組でお話した内容をこの事務所ブログでも文書化していけば、このブログも盛り上がっていくんじゃないかなと思いましたので、今年は最低でも月2回ブログ更新していきます!
本年もよろしくお願いいたします。
2017年
9月
23日
土
最近、仕事をしていて困ることがあります。
それは、相手方が弁護士をつけずに本人で訴訟遂行されているものです。
結論として、このような本人訴訟は誰のためにもなりません。具体的には、①紛争を無意味に長引かせてしまい、本人だけでなく裁判所や相手方にもかけなくてもいい迷惑をかけてしまうということと、②本来弁護士を付ければ本人が勝つ筋のものでも負けてしまうという本人の不利益です。
まず、①については、われわれ弁護士や裁判所が考えている常識を一般の方はおもちになられていないので、いちいちその点に関する説明を裁判所にさせたりすることで1回の期日で済むものも2回の期日が必要になったりということはしばしばです。一般的には、早く紛争を解決するということは原告にとっても被告にとっても裁判所も共通した利益だと思うのですが(もちろん例外もあります)、訴訟当事者の片方が弁護士をつけないだけで、一気にこの共通した利益の実現が難しくなります。何か計画を実行に移すときなど、計画に水を差したり和を乱したりして計画の実行を邪魔したりする、空気が読めない人って、集団の中に1人くらいいますよね。裁判所においては、一方当事者が弁護士をつけているのに、弁護士をつけない本人当事者というのは、そういう風な目で見られます。
ご自分で訴訟を進めようとされている方、言い方悪くなってしまいますが、どうせ負けるなら早く負けた方がよくないですかね。何年も裁判に費やして最終的に完敗した場合、その時間って無駄だと思わないんですかね。そういうことになったとき、目も当てられないということに気づかないんですかね。
そして、②ですが、これも裁判所や弁護士が当たり前だと思っていることが当たり前でないから、当然のことですよね。
まず、民事訴訟の大原則は当事者主義です。当事者主義というのは、簡単にいうと、訴える側と訴えられる側の両当事者が主張立証を尽くして、出されたもので裁判所は判断するというものです。ですから、仕事が忙しくて書面が作成できなかったとか、主張を明らかにもせずに(それゆえ争点も明らかになっていないのに)「この点に関する証人は・・・」的な話をしたりだとか、「●●という証拠を調べてもらっても構わない」的な話をしたりだとか(裁判所は「提出された」証拠しか見ません。裁判所が主体となって提出されてもいない証拠を調べることはありません。)的な話をしたりするのは、この大原則からしてありえないわけです。当然のことながら、こういう話になってくると、必要な主張がなされていなかったり、必要な証拠が提出されていなかったりというわけですから、普通に負けますよね。弁護士が入って適切な主張や証拠提出をすれば勝てていたかもしれません。そういう致命的なダメージを覚悟で、あえて法曹資格のない一般の方が自分で訴訟をやりたい理由がわかりません。
さらに言えば、一般の方が書かれる書面は、無駄が多いのにポイントがずれているものがほとんどです。これも、一般の方は裁判の流れなどが理解できていないのですから、(もしくは、流れとかは関係なく自分の書きたいことを書いているからかもしれないのですが、)当然ですよね。たまに、私のお客さんの中に、「こんな感じで書いてください」と裁判で提出する書面の案をくださる方もいますが、残念ながら無駄が多いのにポイントがずれているドラフトばかりです。それほど法曹が起案する書面と同レベルの書面を起案するのは難しいのです。例えば、これまであった事実や物語を書きたい場合であっても、それらが法律上の主張の中でどういう意味を持つのかという枠組みの中で書かないといけません。そういう枠組みなど関係なく、書きたいことを書いているようでは裁判所も読んでくれないのです。
そういうことで、本人訴訟は誰のためにもならないことはわかっていただけたとは思いますが、そうは言っても弁護士に依頼するお金がないない場合はありますよね。そういうときは、うちの事務所では扱っていませんが、法テラスという国の機関に相談されるのがいいと思います。これは端的には、弁護士費用を国が立て替えて支払ってくれて、利用者は国に対してその立替費用を分割で支払っていくというものです。この場合には、まったくお金をもっていない人でも弁護士に依頼することができます。